【コラム】理学療法士とスポーツトレーナーの違いは?

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仕事内容や活躍する場所が似ている理学療法士とスポーツトレーナー。

なんとなく、理学療法士は医療施設で働く、スポーツトレーナーはスポーツ業界で働く、といったイメージがあるのではないでしょうか。

上記のイメージは間違いではありませんが、理学療法士とスポーツトレーナーには他にもさまざまな違いがあります。

そこで、理学療法士とスポーツトレーナーの違いについて解説していきます。

スポーツトレーナーになるには資格が必要?

ダンベルを持ちカダラを捻り腹筋を鍛える女性

「スポーツトレーナーになりたい」と考えている方にとって、気になるのが資格の必要性ではないでしょうか。

結論から言うと、国家資格を持たず、知識と技術を駆使してスポーツトレーナーとして働くこと自体は十分可能です。

しかし、今現在活躍している人気のスポーツトレーナーの多くは、運動や健康、食事などに関する国家資格を所有していることが多いのも事実です。無資格未経験で最初からバリバリとスポーツトレーナーとして活躍するのは難しいかもしれません。

そもそもスポーツトレーナーを名乗り、活躍するためには、人間の身体についての理解や、怪我をしたときの療法など知っておかなければならないことが多いものです。

スポーツトレーナーを目指したいのであれば、理学療法士を始めとした国家資格等、スポーツに関わる資格の取得がおすすめです。

スポーツトレーナーはどんな資格を持っている?

パーソナルトレーニング ストレッチ

前項でも触れた通り、スポーツトレーナーの多くは何らかの国家資格を所有していることが多いものです。

では、スポーツトレーナーはどんな資格を持っているのでしょうか。

ここからは、スポーツトレーナーが持つ主な国家資格をご紹介します。

理学療法士

スポーツトレーナーが所有する資格として、まず挙げられるのが理学療法士です。

理学療法士とは、運動療法・物理療法などを用いて、怪我や病気で失ってしまった機能を改善する仕事です。

筋肉や骨、神経、内臓など損傷を受けた部分の機能を改善して、生活の質の向上を目指します。

練習時のトラブルや、選手が抱えている身体の不調を間近で確認し、改善のために直接向き合えるのが魅力です。

こうした理学療法士として得ている知識や技術は、スポーツトレーナーとして活躍する中で、活かせるシーンが多いため取得を検討する方が少なくありません。

理学療法士がスポーツトレーナーとしてどんな役割を果たせるのか、より詳しい内容は次のコーナーで説明いたします。

柔道整復師

柔道整復師とは、骨や筋、靭帯、関節などに関する部分にアプローチして、脱臼や骨折、挫傷といった怪我の治療を行う専門家です。

適切にテーピングを巻いたり、接骨をしたりと主に「手技」を用いてアスリートを支えていきます。

スポーツの現場では怪我が絶えないことから、柔道整復師の資格は重宝される国家資格の一つです。

鍼灸師

スポーツトレーナーが持つ資格の一つとして挙げられるのが、鍼灸師です。

鍼灸師とは、文字通り鍼(はり)と灸を用いた専門家です。それぞれを使いながら、全身のツボや筋肉、皮膚にアプローチします。

鍼灸で期待できるのは、自然治癒力の向上や病気予防・緩和など健康面への働きかけです。

身体が資本であるアスリートにとって、常に健康を維持することは重要であることから、鍼灸師としての知識や技術がスポーツトレーナーの仕事で活きるシーンは多いと言えます。

理学療法士だとスポーツトレーナーでどんなことができる?

Man wrapping bandage around knee.

仮に理学療法士の資格を取得した場合、スポーツトレーナーとしてはどのようなことができるのでしょうか。

ここからは、理学療法士の資格があるからこそできることについて解説します。

アスリートの怪我予防や対応

理学療法士としてできることは、まず「怪我予防」「怪我の対応」が挙げられます。

理学療法士の専門分野でもあることから、アスリートが練習中や試合中に怪我をしないよう、個人の動作を分析したり、手技で身体のケアを行ったりします。

また、万が一怪我が生じてしまった場合には、早急に救命救急の対応や外傷の手当・処置などを行うことができます。

日常生活に支障をきたすような怪我である場合には、リハビリテーションも行います。

パフォーマンスの向上

アスリート一人ひとりの身体機能や可動域などをチェックし、パフォーマンスを高めるためのサポートを行います。

身体の動かし方を指導したり、痛みが生じる場合の対処などについてアドバイスします。

また、パフォーマンスを高めるために、ケアとしてマッサージやストレッチなどに対応することも理学療法士ができる仕事です。

スポーツトレーナーになった先輩の声

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八千代リハビリテーション学院の卒業生に「この道を目指した理由」についてインタビューしました。

理学療法士の資格を有して「スポーツトレーナー」として働くメリットや意義、やりがいなどお聞きしています。

プロフィール

【お名前】山本葵

【性別】男

【勤務先/肩書き】カラダのメンテ/代表

【卒業年度】2013年度

【卒業学科】理学療法学科夜間コース

【略歴】

2014年 八千代リハビリテーション学院(夜間)卒業

2014年 慈泉会相澤病院 スポーツ障害予防治療センター 理学療法士

2020年 慈泉会相澤健康スポーツ医科学センター 主任トレーナー

2021年 東京五輪日本代表選手団 トレーナー(マウンテンバイク)

2022年 北京五輪日本代表選手団 トレーナー(ショートトラック)

2022年 日本オリンピック委員会ナショナルチームスタッフ(トレーナー)

【スポーツサポート活動】

2016年~ 長野県高校硬式野球部トレーナー

2016年~ 長野県自転車競技国体選抜チームトレーナー

2018年~ 松本地域新体操チームトレーナー

2018年~ 日本スケート連盟ショートトラックナショナルチームトレーナー

2019年~ 日本自転車競技連盟マウンテンバイク日本代表チームトレーナー

2022年~ 日本スケート連盟スピードスケートディベロップメントチームトレーナー

【Q1】スポーツトレーナーを目指した理由を教えてください。

私は、小学校2年生から硬式野球チーム(リトルリーグ)、中学、高校では陸上競技部に所属しており、小さい頃からスポーツに関わってきました。

その中で高校時代に陸上競技部のキャプテンを務めたことが、チームをサポートすることの楽しさやチームの力になることの嬉しさへの気付きとなり、スポーツをサポートする仕事に興味を持つきっかけとなりました。

また、私自身がスポーツでケガをすることが多く、整骨院や整形外科クリニックへ通いながらスポーツを続けていました。

そうした経験から、「スポーツをサポートする仕事 = 選手のカラダをサポートする仕事」と私の中で結びつくようになりました。

そして、そのような仕事ができるスポーツトレーナーを目指すようになりました。

カラダのメンテ20

【Q2】スポーツトレーナーとして働くうえで理学療法士の資格がどのように活かされているかを教えてください。

スポーツトレーナーにはスポーツ選手のコンディションを良い状態に保つことが求められます。

コンディションはスポーツ障害の予防、身体の動きの改善、体調管理など様々な要素が絡んできます。

そういった要素に対応するために、理学療法士として身体の基本的な構造や機能、様々な疾患を学んだことが活かされていると感じます。

【Q3】スポーツトレーナーや理学療法士の魅力・やりがいは何ですか?

スポーツ選手や患者様に共通することは、目的があって私のサポートを必要としていることです。

全く同じ人間がこの世に存在しないのと同様で、目的や目的達成のための手段も全く同じということはないと考えています。

ですから一人一人に向き合って私ができるサポートは何かを考えていくことが大切です。

そういった取り組みにやりがいを感じます。

また、目的達成のために一緒に歩んでいけること、挑戦できることもやりがいに繋がっています。

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【Q4】スポーツトレーナーや理学療法士を目指されている方々にメッセージをお願いいたします。

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スポーツトレーナーなら選手のため、理学療法士なら患者様のため、というのが自分の仕事の目的として考えやすいと思います。

もちろん、そうだと思いますが、ぜひその先にも目を向けていただきたいと思います。

選手や患者様、またそれをサポートするチームスタッフやご家族、そういった方々の様々な目的や思いを共有し共に考え挑戦できる楽しさ、やりがいを感じること自体は、スポーツトレーナーや理学療法士自身のためと思います。

目指す仕事が自分自身の人生のためと思えるような選択をなさってください。

まとめ

パーソナルトレーニングを受ける男性

スポーツトレーナーを目指すにあたり、理学療法士は必要な知識を得られるため資格の取得がおすすめです。

実際に、スポーツトレーナーの夢を叶えるために、理学療法士の資格習得で学習を深めるケースは少なくありません。

専門的な知識や技術はアスリートを支えるためにも必要なので、ぜひスポーツトレーナーに関心がある方は、理学療法士の資格取得を視野に入れて、夢を実現するための計画を立ててみてはいかがでしょうか。